ひとりごとのつづき


付き合い始めた時、私たちは1つの約束をした。

それは、『お互いに、形で残るものはつくらない』ことだった。

だから、私たちは写真も撮らなかったし、形に残るプレゼントもしなかった。

多分、私が彼のことを引きずらないようにと配慮してくれてたんだと思う。
私が持っていない、人としての器の大きい人だった。

私は、彼に、セカンドオピニオンを受けてはどうか?と聞いてみた。
でも、彼が今まで治療で使った薬を聞いて、無理だと分かった。
大阪の病院では、当時、できる限りの抗がん剤治療を受けていた。

転移もしていた。あちこちの骨に…。
骨転移の痛みは、すさまじい。
でも、彼は私の前では弱気なことは言わなかった。
強い心を持った人だった。

たった一度だけ、彼が弱音をはいたことがあった。
「もう、あかん…。これ以上痛いの嫌になったわ…。オレと一緒に死んでくれへんか?」と言われた。

私は、自分でしっかりと地に足をつけて生きてる実感がなかったから、彼となら一緒に死んでもいいと思った。
だから、「うん、いいよ。」と即答した。

しばらく沈黙があって、彼が言った。
「ごめん、オレ、最低なこと言うたな。許してな。別に、あんたの気持ちを試そうとしたんやないで。ただ、一瞬、心が折れた。」
そして、続けてこう言われた。
「あのな、前から思うててんけど、生きるの、しんどいんやろ?多分、オレに会うまでに相当な苦労してるんと違うか?オレ、死に直面しとるから、そういうの、分かってしまうんや。でもな、絶対に死んだらあかんで。ほんとはあんたも分かってるやろ?患者さんをみてるから。オレは先に逝くから、こんなん言うたらあかんかもしれんけど、約束して欲しい。絶対、自殺したらあかんで。」


私は、彼には虐待のことは打ち明けていなかった。
残された時間が限られた中で、私のしょうもない話はしたくなかった。

でも、彼は察していた…。

多分、私はこの約束をしていなかったら、とっくに自殺していると思う。

彼は、この世にいなくなった今でも、私のことを支えてくれている。

私は、彼の希望で、最期の看取りはしていない。

「オレの最期をみてしまうと、あんたの目には弱りきったオレの姿が焼きついてしまう。オレのことは忘れんといてな。元気なオレのことを覚えといてな。でも、オレに縛られたらあかんで。勝手な話やけど、これがオレの最後のお願いや、わがまま許してな。」

これが、最後に聞いた彼の言葉。

もう、何年も経ってるのに、昨日のことのような感じしかない。

彼は、「オレに縛られたらあかんで。」って言ってたけど、
私は、縛られてるんじゃなくて、今でも彼にしがみついている…。

もう、大切な人がいなくなるのは嫌だ。

だから、彼氏もいらないし、一生おひとりさまでいい。
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こんばんは猪木原です

感動しました
鳥肌たちました

もっともっと
彼のこと思い出してあげて下さい

猪木原さんへ。

猪木原さん、こんばんは。byhです。

コメントありがとうございます。

私が生きていられるのは、このブログに書いた彼の存在が大きいです。

もちろん、他にも私をサポートしてくれている方もいますが…。

今は、私は、かなりメンタルぼろぼろでおかしくなっていますが、このまま、くすぶった状態で死んでしまうと、彼に顔向けできません。

だから、狂いながらも、何とか虐待後遺症をやっつけたいと日々もがいています。
プロフィール

byhfs

Author:byhfs
はじめまして。byhfs ( byh )と申します。
2015年の夏に、摂食障害と診断され、仕事を休職しています。
摂食障害の原因は、過去の母親からの虐待と過干渉でした。
摂食障害だけでなく、うつ、対人関係の悩みや、引きこもり、フラッシュバックなどの虐待後遺症を抱えています。多重人格にもなってしまいました。
そんな虐待後遺症を克服するために、日々もがいていることをブログに書いています。
よろしくお願いします。

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